学校長挨拶

私たちの生きる現代社会は、AI、ビッグデータ、IoT、そしてロボティクスといった先端技術が日常に溶け込み、産業構造やライフスタイルが劇的な変化を遂げる「変革の時代」の真只中にあります。次代を担う若者に求められる資質もまた、これまでの枠組みを超え、刻々と進化し続けています。

本校は、こうした時代の要請に応え得る高度専門人材を育成するため、平成十六年(二〇〇四年)の再編統合を経て、ここ脇浜の地に産声を上げました。開校から二十三年、私たちは常に未来を見据え、一歩先を行く教育を積み重ねてまいりました。

本校の最大の強みは、「ものづくり」を極める専門性の高い教師陣と、それを愛し、探究する情熱を持った生徒たちが集っていることです。しかし、私たちが目指すのは、単に技術を磨き、形ある物を作るだけの場所ではありません。

テクノロジーが高度化する今、それらを自在に使いこなすことはもちろん、自らの考えを論理的・視覚的に伝える「コミュニケーション能力」、そしてデジタルリソースやプログラミングを駆使して困難を乗り越える「課題解決力」を養うことで、新たな技術を創造し、社会の基盤を支える「未来志向型エンジニア」すなわち、イノベーションを牽引できる人材の育成に、全力を注いでいます。

さらに、本校の学びは教室の中だけにとどまりません。放課後の部活動においても、スポーツはもとより、ものづくり活動や資格取得に向けた研鑽など、他校に類を見ない活発な「自主的・自発的な取り組み」を展開しています。こうした切磋琢磨の場を通じて、豊かな人間性と確かな技術を兼ね備えた若者を育んでまいります。

かつて日本の風景にあった水車は、川の流れを受けてしなやかに、そして力強く回転し、人々の暮らしに恵みをもたらしてきました。水車がなぜ回るのか。それは「半分が水に浸かり、半分が外に出ているから」です。すべてが水に浸かっても、すべてが空気だけに触れていても、水車が回ることはありません。

本校における「空気」とは、日々の質の高い工業教育。そして「水」とは、放課後の部活動やものづくりといった自主的な活動です。

高校生活も同じです。学びと活動、その表裏一体となった回転があってこそ、生徒たちは飛躍的に成長し、地域に信頼される科学技術高校の礎を築いています。

また、本校は「失敗を恐れず、何事にもチャレンジする場」でありたいと考えています。結果の成否は問いません。成功も失敗も、すべては「経験」という名の実績です。私たちは生徒の挑戦を責めず、その一歩を全力で支えます。

ただし、その前提として生徒たちに厳しく求めているのが「自立の精神」です。「自分のことは、まず自分でする」。仲間と協力し助け合うことは極めて大切ですが、そのためにはまず、一人ひとりが自らの足で立つ「実力」が必要です。自立した個が響き合うことで、初めて真のイノベーションが生まれると信じています。

大切にしている三つの言葉があります。

「VISION(自分で見る・見通す)」

「DECISION(自分で判断・決断)」

「ACTION(自分から行動)」

自らの眼で見ること、さらに先を見通し、自らの頭で判断・意思決定し、自らの意志で行動する。他人の意見に流されず、消極的な姿勢を排し、自走できる人間であってほしい。

「出る杭は打たれる」ことを恐れる必要はありません。むしろ、打たれることを厭わないほどの勢いこそが、将来いかなる社会へ羽ばたいてもイノベーションを起こせる「生きる力」の源泉となると信じています。

もちろん、一人で抱えきれない困難に直面したときは、本校の誇る教職員が全力でサポートしています。

工業専門分野のスペシャリスト、確かな学力形成を支える普通科教員団、スポーツ指導の泰斗、進路指導に長けた経験豊富な教師陣。この厚い支援体制こそが、科学技術高校の真骨頂です。

その教育の成果は、卒業生の活躍フィールドの広さが証明しています。工業分野はもとより、外資系企業、商社、教育界、さらにはプロスポーツ界まで。本校で培った「自立の精神」「生きる力」を武器に、ありとあらゆる方面でリーダーとして活躍する人材を輩出しています。

私たちは、どんな状況下においても、やるべきことを自らの判断で実践できる「たくましく生きる」を育み、加速度的に変化する社会構造に対応できる人材育成に、これからも全力を注いでまいります。

令和8年4月1日

神戸市立科学技術高等学校

校長 森田 晶司